皆さん、こんにちは。2017年4月に富岡町役場に長崎大学の拠点 (サテライトオフィス)を設けてから活動4年目を迎えています。新型コロナウイルスの影響を受け、社会的に混乱した状況が続いていますが、新型コロナウイルスを想定した対策を取り入れながら、被ばく線量の評価や富岡町の皆さまとの放射線健康リスクコミュニケーション活動を継続していきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いします。私たちはこれまで広報とみおかの誌面上で「放射線と健康」をテーマとした連載を掲載しています。
一般的に放射線の影響は、活発に分裂している細胞、組織や個体に、より影響が出やすいことが知られています。例えば、骨髄にある造血幹細胞は盛んに分裂しながら、血中の血液細胞を作っています。未成熟な血中の細胞が一度に高い放射線を受けると (500ミリシーベルト以上)、細胞死が起こることがあります。その結果、血中の細胞の数が減少することで、出血しやすくなったり、感染しやすくなったりします。これを踏まえ、福島原発事故直後は、住民の皆さんの外部被ばく線量を減らすために避難をしてもらいました。また、暫定基準値を上回る放射性ヨウ素や放射性セシウムが検出された食品については摂取制限や流通制限となりましたが、これは主に内部被ばく線量を低減化するための措置でした。
(広報とみおか 令和2年9月号より)
高村 昇
長崎大学原爆後障害医療研究所 国際保健医療福祉学研究分野・教授
経歴:
1993年3月:
長崎大学医学部卒業
1997年3月:
長崎大学医学部大学院医学研究科卒業
1997年6月-2001年10月:
長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設
国際放射線保健部門助手
1999年6月-2000年7月:
世界保健機関本部(スイス・ジュネーブ)
技術アドバイザー (上職のまま)
2001年11月-2003年2月:
長崎大学医学部社会医学講座講師
2003年3月-:
長崎大学医歯薬学総合研究科公衆衛生学分野准教授
2008年4月-:
現職
2010年1月-2010年9月:
世界保健機関本部(WHO)
テクニカルオフィサー(WHO神戸センター、上職のまま)