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なるほど!放射線・放射能コラム

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[コラム]放射線被ばくの「確定的影響」と「確率的影響」

放射線被ばく健康管理

出典:環境省ホームページ https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h29kisoshiryo/h29kiso-03-01-04.html

 前回は、放射線被ばくによる「確定的影響」についてご説明しましたが、今回のテーマはもうひとつの「確率的影響」です。

 一定の線量(これを「しきい値」といいます)を超えると起こる「確定的影響」に対し、「確率的影響」にはしきい値がなく、被ばく線量の増加に伴って発生する確率が大きくなります。がんや白血病はこの確率的影響に当てはまります。

 原爆被爆者を対象としたこれまでの調査では、200ミリシーベルトを一度に被ばくするとがんで亡くなる確率が1%増加し、それ以上ではがんになる確率が線量に比例して増加することが明らかになっています。その一方で、100ミリシーベルト以下の被ばく線量では、がんのリスクが小さくなりすぎて、発症のリスクを証明できなくなってしまいます。原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)はこれまでに、福島原発事故の健康への影響に関する報告書を公表していますが、一般の住民の方に確定的な影響が見られたり、深刻な病気になったりした事案は報告されておらず、今後、がんの発生率に明確な変化が表れ、被ばくによるがんが増加することも予想されないと結論付けています。

(広報とみおか 令和2年3月号より)

解説者紹介

高村 昇
長崎大学原爆後障害医療研究所 国際保健医療福祉学研究分野・教授

経歴:
1993年3月:
長崎大学医学部卒業
1997年3月:
長崎大学医学部大学院医学研究科卒業
1997年6月-2001年10月:
長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設
国際放射線保健部門助手
1999年6月-2000年7月:
世界保健機関本部(スイス・ジュネーブ)
技術アドバイザー(上職のまま)
2001年11月-2003年2月:
長崎大学医学部社会医学講座講師
2003年3月-:
長崎大学医歯薬学総合研究科公衆衛生学分野准教授
2008年4月-:
現職
2010年1月-2010年9月:
世界保健機関本部(WHO)
テクニカルオフィサー(WHO神戸センター、上職のまま)