「放射性物質」「放射線」などさまざまな言葉が新聞等で使われていますが、これらは似ている言葉のようで、意味が違います。
まず「放射性物質」は、「放射線」を出す物質のことです。放射性物質から出される放射線には、アルファ線、ベータ線のような小さな粒子や、ガンマ線やエックス線のように波形をもつものがあります。例えると、放射性物質と放射線の関係は、懐中電灯と光の関係です。
私たちは、懐中電灯本体があっても明るいと感じることはできませんが、懐中電灯から光が発せられることで、明るいと感じることができます。
この場合の懐中電灯が「放射性物質」、そこから出る光が「放射線」と考えてください。
光が出ている懐中電灯を布で覆うと光が遮断されて暗くなるように、放射線は種類によって遮蔽することができます。
例えば、アルファ線は紙一枚で止める(遮蔽する)ことができますし、ベータ線は紙を突き抜けますが、薄いアルミニウムで止めることができます。病院で放射線を使った検査をする医師や放射線技師が鉛の入ったエプロンをつけていますが、これはエックス線やガンマ線を鉛で遮蔽し、被ばく線量を最低限に抑えるためです。
折田 真紀子
長崎大学原爆後障害医療研究所国際保健医療福祉学 准教授
経歴:
長崎市生まれ、平成22年に長崎大学を卒業後、保健師・看護師として勤務。
大学院在学期間中に、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を受けた福島県川内村で、放射線に関する保健活動を行う。