福島原発事故後、一般の方が受けた線量は、広島・長崎やチョルノービリと比べてかなり低いことから、次世代への影響は考えにくいと思われます。
昨年度、長崎大学が町民の皆さんを対象に行ったアンケート調査で、「震災から現在までに受けた線量で、将来生まれてくる自分の子や孫への健康影響があると思いますか?」という質問に、8割近くの方が「あると思う」と回答されていました。たしかに、放射線による遺伝的な影響について、不安を感じる方は多いと思います。
広島や長崎の原爆被ばく者が被ばく後に妊娠し、生まれてきた世代は「被ばく二世」と呼ばれています。それぞれの被ばく地で被ばく二世の方々に健康影響が出ていないかということは大きな問題であり、現在に至るまで長期にわたる調査が行われてきました。
調査の結果 、現時点で被ばく二世の方について、特にがんやそれ以外の疾患が増加しているということは認められていません。また、1986年に起きたチョルノービリ原発事故から30年が経過しましたが、現時点で事故後に生まれた世代について健康影響は認められていません。
また、福島原発事故後、一般の方が受けた線量は、広島・長崎やチョルノービリと比べてかなり低いことから、次世代への影響は考えにくいと思われます。
(広報とみおか 平成30年11月号より)
高村 昇
長崎大学原爆後障害医療研究所 国際保健医療福祉学研究分野・教授
経歴:
1993年3月:
長崎大学医学部卒業
1997年3月:
長崎大学医学部大学院医学研究科卒業
1997年6月-2001年10月:
長崎大学医学部原爆後障害医療研究施設
国際放射線保健部門助手
1999年6月-2000年7月:
世界保健機関本部(スイス・ジュネーブ)
技術アドバイザー (上職のまま)
2001年11月-2003年2月:
長崎大学医学部社会医学講座講師
2003年3月-:
長崎大学医歯薬学総合研究科公衆衛生学分野准教授
2008年4月-:
現職
2010年1月-2010年9月:
世界保健機関本部(WHO)
テクニカルオフィサー(WHO神戸センター、上職のまま)