富岡町では、5つの種類の放射線測定器の貸し出しを行っています。これらの放射線測定器を写真1に示します。
これらのうち、シンチレーション式サーベイメータ、電離箱式サーベイメータ、DOSEeは、空気中の放射線(主にガンマ線)の強さを測定するためのものです。GM計数管式サーベイメータは、物の表面に放射性物質がどれだけくっついているか(汚染しているか)を調べるためのものです。Dシャトルは放射線により人間がどれだけ被ばくしたかを測定するためのものです。
以下にそれぞれの測定器について説明します。
シンチレーション式サーベイメータと電離箱式サーベイメータは、空気中の放射線の強さ、すなわち空間線量率を測定します。単位はマイクロシーベルト・毎時です。
シンチレーション式サーベイメータは、低いレベルの空間線量率(~30マイクロシーベルト・毎時)を測定することができ、電離箱式サーベイメータは、高いレベルの空間線量率(1マイクロシーベルト・毎時~1シーベルト・毎時)を測定することができます。
空間線量率は、通常、地面から1mの高さで測定器を水平に固定することにより測定します(図1)。
環境中には自然の放射線と放射性物質があり、それらを含めて、富岡町交流サロン前では平成28年12月現在、おおよそ0.2マイクロシーベルト・毎時です。空間線量率を測定するための機器(写真2)は富岡町にも複数地点に設置されており、その場所での空間線量率は機器前面の表示器で確認することができます。
GM計数管式サーベイメータ(通称、ガイガーミュラーカウンタ)は、衣服に付着した放射性物質から出る放射線(主にベータ線)の数を検出し、衣服などの汚染度合を調べるためのものです。単位はcpm(シーピーエム:カウント・パー・ミニット)が使われ、1分間あたり計測された放射線の数で表示します。
測定の際は、測定したい物の表面に測定器窓面を約1cmまで近づけます(図2)。(測定したい物にくっつけてしまうと、測定器が汚れてしまいます。)
よく知られている値の基準としては、原発事故時の汚染物品の持ち出し目安で13,000cpmがあります。
Dシャトルは1時間ごとに個人が受けた放射線被ばくの量を約1年間という長期間にわたり電池交換せずに連続的に測定することができます。測定データは専用の表示器に本体を差し込むことによって確認することができます。測定の際は、首から提げて胸のあたりに装着します。
DOSEeは小型の簡易型空間線量率測定器で、個人が容易に携帯して周囲の空間線量率を測定することができます。空間線量率を合計した値(積算線量と言います。単位はミリシーベルトです。)を測定することもでき、空間線量率と積算線量の測定データは、本体の表示部で確かめることができます。ただし、本体の電源は約1日しかもたないため、毎日充電する必要があります。
いずれの測定器も精密機械ですので、水に濡らしたり、衝撃を加えたり、落としたりしないようにしましょう。また、最低年1回は専門業者に点検してもらい、きちんと動作しているか確認することが必要です。
竹安 正則
日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門 福島環境安全センター 計画管理室
経歴:
工学博士。1968年に香川県で生まれ、学生時代より自然の放射線に関する研究を行って以来、四半世紀にわたり環境中の放射線および放射性物質に関わる業務に従事してきた。東京電力福島第一原子力発電所事故直後は、茨城県東海村において空間線量率や空気中の放射性物質濃度の測定を行った。平成28年8月より現所属となる。福島市在住。